17年前にOZONE建築家コンペコースで住宅を建てた建て主さん。地球温暖化による大型台風に見舞われ、海の近くに建つ自宅の雨戸が飛び、傷んでしまったとのこと。併せて、現在の生活に合わせた小規模リフォームをしたいというご希望でした。
設計した建築家は既に仕事から引退していらっしゃったので、OZONEから新たに建築家を紹介しました。
このリフォームを快くお引き受け頂いたのが建築家の高橋 正彦さん。素敵にリフォームされた住宅が完成しました。
最初にこの建物のお話しを聞いた時は「木製の建具の修理がメイン」ということで、「建築家の仕事というよりも工務店の仕事なのでは?」と思いました。
しかし、よく話を聞いてみますと一部リフォームも考えている、ということでしたので、それなら僕にも手伝えることがあるかもしれないと思い、とにかく一度クライアント(Yさん)に会ってみようとご自宅に伺いしました。
実際にYさんにお会いし、いろいろな話を伺っていると、「現在住んでいるこの家をとても気に入っていて、今後も大切に住んでいきたい」ということをおっしゃっていました。
また家づくりの時にOZONEのコンサルタントの方がとても親身になって話を聞いてくれ、また建築家との家づくりがとても楽しかったので、今回も是非OZONEと建築家に関わってもらえるよう望んでいました。
Yさんの一番大きな要望は、台風によって被害を受けたLDKにある木製建具と雨戸の修繕。
それ以外は、新築当時、ご夫婦共通の趣味である自転車の出し入れのために作った玄関横の大きな引き違いの開口部を、最近では使わなくなってしまったので変えたいということでした。
まず、LDK部分の木製建具は気密性の良いものに交換し、雨戸と戸袋も造り変えました。
気密性の良い木製建具となるとどうしても高価なものになってしまうのですが、1日のうち一番長く居るLDKですのでここはきちんとしたものを選びました。
また、庭に置いてあった園芸用の小物などが入った物置も台風時に倒れて飛ばされてしまったようなので、雨戸の戸袋に合わせてデザインし固定することにより、台風時も安全な状態でいられるようにしました。
玄関部分の大きな建具に関しては、Yさんも具体的にどうしたいという事ではなく、最近使わなくなっていて防犯上の不安もあるので何か提案してくれないかということでした。僕からは「建具をやめてしまい収納にしては」と提案しました。
というのも玄関部分には下駄箱のようなものがなく、Yさんがどこかで購入してきた収納箱に細々としたものを入れていたからです。
そこで、引き違いの開口部分の真ん中に収納を造り、上下に窓を作りました。引き違いの開口部分全てを収納にする事もできたのですが、以前開口だった部分を全て塞いでしまうと玄関が以前より暗く感じてしまうので、明かり取り及び通風のための横長窓を設けたのです。
これで細々としたものがきちんと収納され玄関周りもすっきりし明るさも保たれ、以前より広く使うことができているようです。新しく作った収納の外部はLDK木製建具の戸袋と同じ仕上げとし、外部から見ても統一感を保っています。
これ以外にも、レンジフードの交換や室内ドアの調整など、細々した部分も手を加えました。
建築家と建てた建物は細かい図面がしっかり残っている場合が多く、メンテナンスをする時も建築当時の手がかりが残っていて、その点で助かる事も多いはずです。
建築家の手がけるリフォームは現状からガラッと雰囲気を変え、全く違う空間を作り上げるというイメージを持たれている方も多いと思いますが、今回のように既存の建物をブラッシュアップしていくということもひとつの仕事の形です。
このケースのように、愛着を持って住んでいる家族や周辺環境の事をしっかり考えた家が一軒でも多く残るというのは、気持ちのいい町並みを形成する事にもつながり、地域や環境への貢献にもつながると思います。
小さなリノベーションでも、まずは気になる建築家に一度声をかけてみるのはいかがでしょうか?
(2021.11月記。建築家|高橋正彦さん(写真提供))OZONE住まいづくりコンサルタントがご要望を伺い、ふさわしい建築家を紹介します。
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