お客様の計画地は、広い土地の一部分を切り取った場所。道路から上がった盛土になっています。
住宅を建てたい位置には、道路面高さの既存の駐車場と古い大木があり、家の配置を難しくしています。
「駐車場の位置を移動させ、大木の伐根で空いた大きな穴を平らにして整地するには、700万円程度かかります。」と、某ハウスメーカーさんから言われていました。
そこで建築家が考えたアイディアは...?
◆建築家の提案した解決策◆
既存駐車場と木の伐根で空いた穴の凹地盤面と、敷地の凸地盤面の高低差をそのまま利用して、上にスキップフロアの家を建てるという解決策でした!
(建築家のプラン提案資料より)
このように設計することで、緩やかにつながりつつ場所の独立性は保たれ、「人を招くことが好き」という奥さまと、「妻の友人が来るとき居場所がない」というご主人の、夢と不安要素を解決することもできました。
<1階スキップフロア> 階段下が将来の子供室、上が寝室&書斎
<2階スキップフロア> 階段下がリビング、上がダイニングキッチン
ご夫婦が考えた家づくりのメインテーマは
・昼も夜も光が楽しめる家
・外からの視線を気にせず、開放的に感じられる家(例えばカーテンをしないで過ごせる)
・アウトドアリビング
・木を使ったモダンな空間、でした。(家づくり計画書「ライフスタイルシート」より)
●玄関
広く明るい玄関内。階段がありますが、下部に収納部屋が無く、黒アイアンの手すり、木の踏板ですっきりとデザインされています。
●洗面・洗濯室、浴室
日当たりが良く、室内干しが可能で、すぐそばの掃き出し窓にあるデッキで外干しもできます。来客から見えないようにすることがご希望でした。浴室の開放的な大きな窓からは、視線を気にせず外に緑や空が見えます
●食器のデザインをする奥様は自作の食器もあり、人を招くこと、おもてなしが好き
ご家族での夕飯の一コマ。キッチンではかわいい雑貨を並べて楽しんでいます。
●壁面に上手く隠されたパソコン収納
≪建て主さまから≫
コンペでの想像を超えた提案に一目惚れで決めました。建設中には工務店様からの実用に沿った提案も頂き、自由な空間と家族の成長に合わせていける家にして頂いたと感じています。
≪建築家 萱沼 宏記さんから≫
Mさんにお会いした時、とても大らかなご家族という印象を受けました。高低差を利用し部屋を仕切らずに家族を感じながら暮らせる空間は、元々の敷地の高低差もありますがMさんの人柄を手掛かりに生まれた気がしています。
●所在地:東京都 ●家族構成:ご夫婦、お子様 ●延床面積: 113.92m2(34.52坪) ●構造:木造 ●コースお申込:2018年9月 ●竣工年月:2020年7月 ●担当コンサルタント:小川、村松(文) ●設計:萱沼 宏記(プラスデザイン1級建築士事務所/写真提供) ●施工:株式会社匠陽 ●撮影:山田新治郎