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自社製品の機能性アルミガラリを活かした複合ビル

葛飾区にお住まいのK様ご夫婦は、換気や防水、目隠しの為に使われるアルミ製のガラリを開発・製造する開発建材株式会社 の本社ビル建て替えを計画されていました。1~2階を事務所、3階以上を自宅と賃貸住宅にする複合ビルとして、これまで大手ハウスメーカーと進めてきましたが、自社製品のアルミガラリを建物に取り入れることや事務所部分の設計は建築家による提案が適しているとの友人の勧めでOZONEに相談にいらっしゃいました。

アルミガラリを外観デザインに!

これまで埼玉県や茨城県に工場や技術試験所を複数建設され、最後に本社ビルの建設へと歩まれたK様ご夫婦。数日に分けて行った要望整理のお打ち合わせはどこを切り取っても、大切に育ててきた会社と、ご夫婦がお互いを尊重し、ご家族を大切にする想いがあふれていました。やはりこのプロジェクトの主題は、大小さまざまなご要望を包含する形で、自社製品であるアルミガラリを最大限にデザインに取り入れることです。
ご夫婦二人と絞った3名の建築家候補の中から1名に絞る為、3名が設計した建物見学を実施しました。実際の空間を、建築家、住まい手双方からお話をうかがいながら見学すると、建物を身体で理解する感覚が生まれます。
建築家の村松さんが設計された、RC造の6階建て賃貸併用住宅の最上階にあるオーナー宅の見学が、正にそんな時間となりました。ご主人は見学中何度も「いやあ、いいですね」とおっしゃり、オーナーが「雨の日がまたいいんです。」と最上階の一角に設えられた中庭を案内すると、ガーデニングが趣味のご主人は何度もうなずいていらっしゃいました。村松さんは、日光の動きに連動する可動遮光アルミルーバーを採用した実績もあり、最終的にデザイン性と実績が評価された、株式会社村松デザイン事務所の村松基安さんに依頼することになりました。

解体・建物のボリューム検討・隣地の購入へ

古い既存本社ビルの解体を進めることになりましたが、建物からはアスベストが多量に検出され、厳しい作業が予想されました。本社ビルの設計は4階建て案と5階建て案を検討し、最終的には、1~2階を事務所、3階以上を自宅、屋上庭園のある5階に、仕事上の接客も出来るサロンを計画する方向に決定。そして実施設計が終了間際に隣接する南西側角地が売りに出たことで、K様ご夫婦は購入を決断します。
敷地の拡大により建物の配置を角地側に移動し、大幅な設計の見直しを行い、3方向からの眺めと採光・風通しが良くなる設計案が生まれました。防音・防水機能を持つ自社製横型アルミガラリと村松さんデザインの遮光縦型ルーバーが三方向に配され、外観のシャープな意匠と機能性を両立しています。

このプロジェクトでは、機能とデザインを兼ね備えたアルミガラリのデザイン提案を軸に、建築家とともに地域性とビジネスの両面を捉えた魅力的な本社ビルの実現を目指しました。

事務所部分
事務所部分
住居部分
住居部分

外観

自社ビル用として、縦型アルミルーバーの型を制作しました。断面のデザインは村松さんによるもの。光の反射や回り込みなどが、美しい空間を演出します。また、防音・防水機能の横型ガラリは角をさらにシャープにした断面形状とし、ガラリの内側は仕事や生活の場からすっきり見えるよう、取付方法も新しくデザインしています。

外観1
外観2
外観3

【事務所(1~2階)部分】
エントランス

エントランス1
エントランス2

会議室

会議室

応接室

テーブルとイスのデザインは村松基安さん。

応接室1
応接室2

社長室と事務室

社長室
社長室
事務室
事務室

【住居(3~5階)部分】

住居部分は、ルーバーに囲われたテラスを中心に配置され、そのテラスには、囲われたルーバーから、美しい光がこぼれ、刻々と移り変わり、静かな時間が流れます。

エントランス(エレベーター・階段ホール)

エントランス(エレベーター・階段ホール)

ダイニングキッチン

ダイニングキッチン

リビング

リビング1
リビング2

テラス

テラス1
テラス2
テラス3

洗面・浴室

洗面・浴室

4階廊下

4階廊下

5階サロン・屋上テラス

ご主人の趣味のガーデニングスペースを設え、スカイツリーに沈む夕日を眺めることができます。

5階サロン・屋上テラス1
5階サロン・屋上テラス2
5階サロン・屋上テラス3
5階サロン・屋上テラス4
<お客様より>

アルミガラリを製造販売している会社としてガラリを使った建物にしたいという希望と、居住部分については「光」と「風」を感じられるホテルのような居心地のいい空間がほしいという私共の希望で、最終的に友人の紹介でOZONEさんにたどり着きました。
設計図ができるまでは細かな部分までの打合せや建築家の村松さんが設計した実際に生活されている建物の見学までさせていただき、こんなにも丁寧に時間をかけて決めていくのだと驚きました。
2025年3月に完成し、初めて来社されるお客様から「素晴らしい建物ですね」とお褒めいただき、社員一同誇らしく思っているようです。
事務所内は明るく開放的なイメージです。社長室、事務所及び会議室の各部屋に、打合せスペースがありますが、内容に合わせて集まりやすく、以前に比べて社内のコミュニケーションも活発になったようです。建築家の村松さんがデザインした外装ルーバーはとても機能的でお客様からも高い評価をいただいています。実際に外装ルーバーについての問い合わせもあり、現在商品化を検討しています。
居住部分においては、希望通りリゾートホテルのような居心地の良い空間を創り上げていただきました。3階はテラスを中心にキッチン、リビングへの動線も使いやすく家族、友人が集まる機会も増えました。また、朝日が昇ってから日が暮れるまでルーバーから入る陽の光で違う景色を感じることができるのも大きな魅力です。
4階部分は浴室と個室がありますが、廊下から3階テラスを見ることができて、どこにいても心地よさを感じることができます。5階テラスは落ち着きのある色調で3、4階とは全く異なる雰囲気のある空間にしていただきました。ゲストとの語らいも、好きなガーデニングも、毎日スカイツリーを眺めながら楽しむのも、最高に贅沢な時間です。
建築家の村松さんが設計された建物見学会の折、オーナー様がポツリとおっしゃった「雨の日も素敵な家」を私達も実感しています。 最後にOZONEさんには最後まで寄り添っていただき大変感謝しています。

<建築家より>

本プロジェクトは、長年にわたりアルミルーバーの研究開発に取り組んできた開発建材株式会社が、創立50周年を機に実施した本社建替計画です。敷地は荒川に近く、周辺には住宅や町工場などが混在する都市的な環境であり、建物の上階からはスカイツリーや首都高速を遠望することができます。
建物は1、2階をオフィス、3、4、5階を住居として、その2階以上の外皮をアルミルーバーで覆った正方形平面のRC造5階建てです。北東面には既成の目隠しルーバーをフレームなしで設置し、強い西日の制御が求められる南西・北西面は居住空間のために、安定した反射光を内部に導くために新たなルーバーをデザインしました。このルーバーは航空機の翼のような断面形状をもち、光の反射と回折による視覚的な美しさを有し、風切音の発生を最小に抑えることができます。
3・4階の住居階では非日常の寛いだ時間を過ごすことができるようにしていて、南西側に室内と同等の広さを持つ2層の高さのテラスを設け、そこに居室が面するようにしました。
対照的に、5階はスカイツリーや高速道路を行き交う車を遠望しながら夕陽を楽しめるテラスを設け、開放的な交流の場として景観に視界をひらく一方、テラス上部に外皮と同じルーバーを日除けとして設置し、その下をガーデニングスペースとしました。
季節の移り変わりの中で、アルミルーバーを介して外部の景観と内部の空間とが干渉しあい、光・風・天候の変化など、自然現象や風景と人の心身が直接的につながり、建築の形が意識されないほどに消えて心身と空間とが溶け合う。そのような身体と空間が一体性と解放性を持つ建築の創出を求めました。

詳細情報
●所在地:東京都
●構造:RC造5階建て 
●延床面積:486.24㎡
●コース申込:2021年4月(新築・建て替えコンサルティング ベーシックコース)
●設計期間:2021年9月~2023年2月
●工事期間:2023年9月〜2025年3月
●プロデュース:OZONE家design
●担当コンサルタント:村松 葉子・有田 佐記子
●設計監理:株式会社村松デザイン事務所 村松 基安
●写真:小川 重雄

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