建築家で大成功のリノベーションvol.2「子育てに向けての全面リフォーム」建築家：紫冨田啓一さん

中古マンションをゆずり受け、2020年に完成した "建築家に頼んで大成功"のリノベーション実例です。登録建築家自身がご紹介します。

これまでご両親が住まわれていた郊外にある大型マンションを、お子さんが出来たことを機にゆずり受けたご長男夫妻。自分たちの暮らしにあった住まいに全面リフォームされました。

４LDK・約32坪と広い住まいながら、三寝室・和室・台所など各室が壁で仕切られ、その広さが十分に活かされていない面がありました。今回のリフォームにあたっては、居間・食堂とは仕切られていた台所や和室の壁を取り除き、約30畳大の開放的なLDKスペースに生まれ変わりました。

ソファの置かれたリビングスペースは、以前は和室で、戸襖と壁で仕切られていましたが、壁を取り除いた事で、ダイニング・キッチンとも一体のゆったりとしたスペースに生まれ変わりました。

ダイニング側からの見返し。
左手のキッチン、右手リビングとも視線が繋がり、お互いの気配を常に感じられます。

正面のキッチンは、壁で仕切られていましたが、今回は対面キッチンとし、カウンターを設ける事で、簡単な食事や家事等が出来るようになりました。レンジフード前も、耐火ガラスを使うことで視線が拡がり、ダイニングとの繋がりを増しています。

キッチンからの眺め。
ダイニングやリビングを一体に見渡せる事から、炊事の際もお子さんの様子に目配りが出来ます。

これまでのキッチンは壁で仕切られ、シンク・レンジ共向かって右側でしたが、今回のリフォームで、ダイニング側への対面式としました。

左の写真は玄関スペース。　プラン上、日差しが届かず、これまでやや暗い印象がありましたが、ハキモノ入れ天井面に間接照明を設ける事で壁全体を照らし、明るさを確保しています。
右の写真の左手は玄関収納で、布団もしまえる奥行を確保しています。　建具を天井までの高さとし、取手レスのフラットなデザインにする事で、すっきりした壁のように見せています。　

詳細情報

●家族構成：単世帯
●延べ床面積：106.55㎡
●竣工：2020年
●構造：RC造（マンション）
●Photo：渡邊和俊

建築家：紫冨田啓一さん

いろいろな案を検討し、打合せを重ねていく中で、少しずつ住まいの形が見えてくる事は、とても楽しい事です。その答えも建て主の方の個性によって、毎回異なってきます。設計者の役割は、建て主の方の想いや疑問を、一つ一つ整理し、形にしていく中で、建て主の方の期待以上の、＋αの答えを導き出していく事だと思います。

紫冨田啓一さんのプロフィール

（2023年2月記）