建築家で大成功のリノベーションvol.11　「豊かな自然環境と呼応したマンションリノベーション」建築家：青木律典さん

RC造壁式構造で壊せない内壁がありましたが、プランの工夫で視線や風が通り抜けるように。2020年に完成した "建築家に頼んで大成功"のリノベーション実例です。登録建築家自身がご紹介します。

築年数が経過したマンションの一住戸をスケルトン状態にしてからリノベーションした事例です。鉄筋コンクリート造壁式構造の住戸内には、壊せない壁が幾つかありました。開放的な住まいを望んでいたクライアントの気持ちに出来るだけ応えたいと思い、既存の壁の配置を考慮し、整えるために、角度を振った壁を挿入しました。

模型写真

平面図

改修前

改修後

この角度を振った壁に沿うように、視線や風が室内を通り抜け、開放感が感じられるようになりました。既存の壁が空間を適度に分節していますが、角度を振った壁によって、つながりと一体感が生まれています。また、周辺の自然環境を享受するため、窓周りに居場所をしつらえることで、豊かな自然がより身近に感じられるようになりました。最上階に位置するこの住戸では、屋根面と外周壁の断熱補強をしっかりと行うことで温熱環境の改善も図りました。空間がゆるやかにつながることで、温度変化の少ない、快適な住まいになっているそうです。周辺の豊かな自然環境と呼応した、住み心地と印象を一新した住まいが出来上がりました。

DK

ご主人がつくったダイニングテーブルのある空間は家族が集まる住まいの中心です。既存の窓横の壁には障子が引き込まれています。周辺の緑を楽しむためのベンチを窓辺にしつらえました。

キッチン

キッチンは壁一面につくりつけた造作です。左手の壁の奥に冷蔵庫を配置することでくつろぎ空間の雰囲気を整えています。

子供部屋

南に位置するダイニングの隣のスペースは子供室です。オープンにしておくことで解放感がありつつ、家族と距離の近い居場所になります。

子供室　角度を振った壁部分

角度を振った壁が南側の子供室から北側の寝室まで伸びています。壁の奥にはクローゼット、トイレ、玄関を配置しています。

玄関（右）　角度を振った壁部分

玄関はあえて茶色のラワン材でつくることで、他の白い部屋との対比が生まれ、奥行きと広がりを感じられるようにしました。正面の扉の奥には浴室があります。

寝室

北側の寝室のうち、2つの壁面には本棚を造り付けました。窓辺の棚はベンチにもなり、窓の外の緑を身近に感じながらくつろげる場所です。

寝室内から洗面を見る

角度を振った壁に沿って視線と風が南側の子供室まで抜けていきます。

詳細情報

●家族構成：単世帯
●延べ床面積：87.56㎡
●竣工：2020年
●構造：RC造（マンション）
●Photo：長田朋子

建築家：青木律典さん

「暮らしをみつめ、住まいをつくる。」ことをテーマに建て主の皆さんそれぞれのライフスタイルに合ったデザイン性と機能性・快適性のバランスを重視した住まいづくりをおこなっています。建て主の皆さんのお話にじっくり耳をかたむけ、現在の暮らしを拝見しながら新たな住まいのイメージを一緒に共有していきますデザインが優れていることはもちろんですが、快適で使い勝手の良い唯一無二の住まいづくりを是非ご一緒しましょう。

建築家プロフィール