暮らしの変化と楽しい間取りvol.7「庭と繋ぐいえ」建築家鈴木貴詞さん

2020年に完成した "今ならでは"の住宅実例を、登録建築家自身がご紹介します。

平屋・24坪・小さな家

京都市左京区にある"庭と繋ぐいえ"は上から見た平面形状がL字型の平屋の住宅です。4人家族（ご夫婦＋お子さん2人）が生活するこの住宅の大きさは24坪と小さなお家です。家で過ごす時間が多くなる生活に合わせて小さくても窮屈に感じない工夫を凝らしています。建物に沿ったウッドデッキによって、有機的に生活と庭を繋いでいる点がこの家の特徴です。

どこからでもアクセス出来る

この家には南面長手に沿う外廊下のようなウッドデッキがあります。各部屋からウッドデッキを介して外に出ることが出来ます。単に出入りが出来るというのではなく、各所に下駄箱や荷物置きも用意して、利便性の高い場所からそれぞれの生活に合わせて好きなところから日常の出入り口として使えるように設えてあります。部屋の移動もカジュアルに外を使うことが出来ます。床面積は小さな家ですが、家の大きさをウッドデッキ・庭を含めた広さで感じる事が出来る工夫です。

柔らかく被さる天井と外と繋がる垂木

視覚的な特徴としては、家族の生活空間を柔らかく包み込むようにカーブした天井があります。柔らかくカーブした天井が建物の長手方向に手前から奥まで続いています。天井の頂部に取り付けた窓により、建物の奥から天井を沿って光が伸びてくるように設計しています。広がりのある空間を演出しています。ウッドデッキには雨を避ける為の庇が架けてあります。その庇を支える垂木が室内にまで入り込み、カーブした天井の中に消えるように差し込まれています。生活空間が窮屈にならないように視覚的な広がりを感じられるように庭と内部空間を繋げる工夫を各所に加えています。

みんなが庭を囲んで過ごす

玄関から広がる奥行きのある建物と庭。キッチンから眺める庭。ダイニングから子ども達が庭に出て行く様子を眺める。ワークデスクは庭に向かって設えてあり。洗面台は庭からの光が降り注ぎます。寝室からもすぐにウッドデッキにでることが出来ます。庭からの風が家の中を通り抜け、庭の緑が柔らかな光を家の中に導きます。家族みんなが庭と繋がる工夫を重ねた家です。