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日本の古くからの街並みを未来へ繋げる 有馬温泉と建築家

W360 sketch.jpg有馬温泉(兵庫県神戸市) は日本書紀にも登場した大変歴史ある温泉です。江戸中期には人々の往来が盛んになり、その賑わいは「有馬千軒」と言われるほどでした。

その有馬温泉にて、弟さんが店主を務める喫茶店の古民家再生を手掛けたのが、建築家・深山健太郎(ふかやま けんたろう)さんでした。しかし2016年11月に有馬温泉の中心部で火災があり、喫茶店を含む4軒が被災してしまいます。

そこで有馬温泉を引っ張る有馬温泉観光協会会長より「再生に向けての絵を描いてほしい」と言われたことから、「有馬千軒再生事業」がスタートしたそうです。


Q1)「有馬千軒再生事業」の進め方や未来予想図は?

(建築家)現在の有馬の街並みを見ると、和風の街並みのなかにも異国情緒やお洒落な雰囲気があります。その骨組みを作ってきたのが、老舗旅館「御所坊」の宿主であり、現在の観光協会長である金井啓修氏です。

(有馬千軒再生事業の発端の長屋であり、弟さんが経営する堂加亭

私自身、有馬温泉との関わりは20年ほど前に遡りますが、金井氏とはヨーロッパのスパを一緒に視察したり、いろいろと学ばせていただいているうち、10年ほど前から有馬温泉のさまざまな物事に関わらせて頂くようになりました。

(高機能屋台5台)

「さまざま」というのは、旅館の客室・浴室の改修や古民家の改修、公衆トイレなど設計としての仕事だけでなく、イベントの屋台だったり、サインやチラシのデザインだったり、関係する人たちとの調整や未来に起こるであろうことの予測や準備など、本当にさまざまなことをお手伝いさせていただいています。

Q1有馬千軒1-1w1000machinami.JPG

そんな中で、火災からの復興という形ではじまったのが「有馬千軒再生事業」です。
街のなかに残っている、住む人のいなくなった古い建物を売ったり壊してしまうのではなく、地権者の権利を残しつつ、建築物の補強や補修をして新たなテナントを入れて活かしてゆくというものです。
主体は一般社団法人有馬商店会で、国の補助を使いながらの事業になります。これまで4事業、9箇所と高機能屋台5台を整備してきました。
(写真|小宿 八多屋。クリックで拡大します)

Q2)この事業に取り組むにあたっては、有馬温泉の地域の方々、商売で盛り上げたい方々の、熱い思いがとても大事ですね。

有馬温泉は、江戸時代には「有馬千軒」と言われ、大阪や京都に続く細い通りに千軒くらいの商店が軒を連ね、ものすごい賑わいがありました。近代になり、バブル後には衰退した時期があったものの、やはり関西では有馬温泉の人気は高く、多くの人が来る温泉地です。

(津名所図会(1798年)神戸市立博物館蔵より)

来てくれる人が町歩きを楽しめ、かつ有馬にしかない風景やお店を楽しめるようにしてきたのが金井氏はじめ有馬温泉の中心人物ですが、昔から住みつづけている住民の高齢化と、空き家の活用が課題になっていました。

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そこで、この事業によって歴史的景観を残したまま、建築を未来にも引き継げるように仕組みを作り出しています。

単なる建築の保存ではなく、またテナント誘致のためのハード整備でもない。景観と経済を両立させているもので、テナントの誘致も「売れれば良い」のではなく、有馬や神戸・兵庫を大切にできるかどうかも問われるという、他ではあまり見ない事業モデルだと思います。
(写真|有馬千軒で整備した古民家1階の「有馬禅寿司」。大阪独特の文化である「箱寿司」を楽しむことができる)

Q3)古くからの街並みや再生された古民家、新たなニーズにより建設される建物。そのバランスについてどのようにお考えですか?

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残された建物や新たに建てられる建築は、どのようなプロセスであれ、それが地域資源になり、その地域の「景色」になります。僕は新築/リノベーション・築10年/築100年、それぞれに必要とされる意味があると思います。大切なのは、その建物が活かされていることです。

近代も含め、歴史的建築物は取り壊される段階になると保存運動が起こります。でも、私は保存だけして残すことにはあまり賛成ではありません。

建築は人が使って活かされて、はじめてその価値が出るものだと思っています。そういう意味では、建築家がどんなに頑張っても限界があり、使うの方の熱意がないと本当の意味での「再生」にはならないと思います。

また、文化的側面と同じくらいに経済的なバランスも重要です。しっかりと使ってゆけるような事業になってゆけば、建築も長いスパンで活かされてゆくと思います。

(写真|有馬千軒で整備した築100年の古民家。登録有形文化財として登録された)

Q4)有馬千軒再生事業は経産省の<商店街支援事業>を使っていますが、建築家としてどのように関わられたのでしょうか? また、他のプロジェクトでは、経産省の<事業再構築事業>の活用もあるとか。

有馬千軒再生事業は<経産省の商店街支援事業>を活用して行なっているものです。
有馬千軒再生事業では、申請前に概略での計画策定が必要になるので、工事内容だけでなくテナントの想定、事業スケジュール、各地権者との調整を行います。採択後は、事務局の後方支援として経産省事務局との調整や補助事業完了時の実績報告、工事完了後もテナントはじめアフターケアをし続けるような立場になっています。

(建築家スケッチ)

その他のプロジェクトでは<事業再構築事業>を活用したものもあります。これは、商店街ではなく事業者の支援として出ている補助です。事業再構築については、最終的には認定支援機関の承諾が必要になるので、私ができることは最後の仕上げ一歩前までですが、旅館や商店、飲食店など事業計画の策定や売上予測などを立てつつ、新しい取り組みを始めるお手伝いをさせていただいています。これも有馬千軒再生事業や、金井氏から建築設計という仕事では捉えきれないような、さまざまなことを経験させてもらったからこそだと思い、大変感謝しております。


●コンサルタントから●
現在、深山さんは有馬温泉にて1191年創業の老舗旅館「陶泉御所坊」のオーナーと共に、新しい取り組みの申請が通り、現場が始まっているそうです。また事業再構築事業では、湯河原温泉や九十九里などで既に採択されてプロジェクトも進んでいるとのこと。今後のご活躍を楽しみにしております。

建築家 深山健太郎さんFukayamasan.SQ130jpg.jpg

丁寧に、責任を持って仕事に向き合えるよう、スタッフをおかずに提案からアフターケアまで行っています。こちらの価値を押し付けるのではなく、一緒に家づくりを楽しめるように寄り添っていたいと考えています。打合わせは図面のほか、手書きのスケッチや模型を使います。

住宅以外では有馬温泉や山代温泉・湯河原温泉・伊香保温泉・清里などでの旅館や公共施設などの実績だけでなく、国内外のホテルやリゾートにつくられるスパ施設の設計監修なども行っています。

町づくりでの景観検討では、初期段階のイメージを固める際に、会話の中で スケッチを描く作業を行い、住民や市民の共通イメージをつくる手助けを行っています。 深山さんプロフィール>

(2022.2月 写真とスケッチは有馬温泉の様子。建築家提供。)

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