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WEB事例集「建築家で大成功のリノベーション」連動企画 『買ってリノベ』クロストーク前編

近年、中古マンションを購入してリノベーションしたお宅に入居する方が増えています。
意匠性・環境性能はもちろんのこと、資産価値維持の観点からも、建築家によるマンションリノベーションは魅力的な点が多く、今後の伸長が予測される市場です。
そこでOZONE家designでは、建築家との家づくりに特化した不動産会社「創造系不動産」代表 高橋 寿太郎氏と、デザイン性と住環境性能の両立を目指し、新しいリノベーションを追求する建築家:久保和樹氏を登壇者にお迎えし、クロストークを開催しました。
前編である今回は、不動産会社と建築家、それぞれの立場から考える「家づくりの現状と今後」「中古住宅の選び方」について語っていただきました。


高橋 寿太郎 氏(右) 創造系不動産株式会社代表 神奈川大学建築学部教授
久保 和樹 氏(左) H2DO一級建築士事務所代表 一級建築士

1.家づくりの現状と今後

(高橋氏) アフターコロナの現在、不動産業界的には色々と変化しています。以前からの一番大きな問題は、日本の人口が減少し、空家が増加しているという現状です(図1、2)。そのため、今後の不動産業界は『中古戸建住宅や中古マンションをリノベーションする』方向性になってゆくと考えられます。


図1 日本の人口予想のグラフ

図2 空家数と空家率の予測


そして、消費者の意識も変化してきています。日本ではもともと住宅が足りなかったため、次々に新しい家を造る『新築偏重/新築が好まれる』文化でした。これは世界的に珍しく、中古住宅の売買数をアメリカ・イギリス・フランスと比較すると、日本は人口対比で1/10です(図3)。ただ、日本でもだんだん古い建物を壊すのではなくて、活かして永く持たせようという意識に変化してきているのです。

図3 空家数と空家率の予測


大きなポイントは、『古いものはカッコイイ』という価値観が、日本の消費者に芽生えはじめているということ。創造系不動産には、あえて古い建物探しているお客様や、古さをきちんと活かすデザインする建築家も来店します。日本という国が成熟していく中、衣食住の中で≪住≫だけが少し置いて行かれてきた感がありましたが、≪住≫へのこだわりという意識が年々増しているように感じています。リノベーションについていえば、これからもっと増えていくでしょう。


(久保氏) 建築家としては、コロナ禍をあえてポジティブにとらえ、家の価値観が多様化してきたと受け止めています。私は家づくりワークショップを10年行っており、その中で「ハウスライフプラン」(久保氏の造語)というものをクライアントに考えてもらっています。これからの生活の変化とお金については「マネーライフプラン」という考え方があるのに対し、「ハウスライフプラン」というのは、家と一生、どう付き合っていくかを考えるというものです。

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久保氏主宰のワークショップ

たとえば「ハウスライフプラン」で「子育てまでは一軒家。子供が巣立ったあとは家を売って都心のマンションに移る」という希望があるとすれば、設計内容は変わってきます。新築の家を子育て時期だけ使い、その後売却してしまうのであれば、細かく部屋を分ける必要はありません。一般には子供の人数分の個室をつくるという、"○LDK神話"がありますが、私は新築の設計時、スケルトン・インフィルで分けて、極力スケルトンを大きく箱としてとり、その中にプライバシーのある場所をつくるようにしています。

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久保氏の「イタカグキット」で空間を仕切る

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PHOTO:Ryota Atarashi

一方、マンションリノベは箱の大きさは決まっているので、高橋さんの「建築と不動産とのあいだ」流に言うと、「建築と家具の間」という発想で、フィックスの建築と流動性のある家具の間位の、可動式の家具や建具、間仕切りなどを組み合わせた可変性のある空間をよく設計しています。


2.中古住宅の選び方

(高橋氏) 中古住宅は、ぱっと見では性能の良し悪しがわからないため、建築家に「この古い住宅はよみがえるかどうか...?」と相談してみる必要があります。マンションの場合はスケルトン(躯体だけの状態)だと考えやすいのですが、そういった状態での流通はほぼありません。
現状、都心部の不動産価格は上昇しており、リノベ済みの物件は利益が乗り、びっくりするほど高額になって出回っています。自分だけの家が欲しい場合は、建築家とリノベをする前提で、中古住宅を探すのが良いと思います。

売買の際には、住宅を購入する側の人が住宅診断の現場相談員であるホームインスペクターに依頼することは可能です。しかし、戸建住宅の壁の中すべてをチェックするのは難しく、確認申請書・完了検査済書がないことが多く、また実際の面積が確認申請時よりも広くなってしまっている住宅も存在します。ですので、中古の場合は戸建住宅よりもマンションの方が分かりやすいと思います。

(久保氏) 中古住宅の良いところは場所性だと思います。築40~50年のマンションで、都心部から少し離れていても、立地条件が良いエリアの住宅も良いと思います。建築家の立場としての中古マンションの選び方は、用途地域を見て購入するという事。用途地域を見れば、将来まわりの建物が建て替わっても、おおよそどのようなものが建つかが分かるので、日当たりや風通しも見当がつきます。
悪い部分は、高橋さんのご意見と同じで、"戸建て住宅は難しい"という事です。雨漏りがあっても、内装のボードを全部剥がすわけにはいかないですし、木造だと腐っている場合もあるため、リノベーション費用が予想以上に増えることがあります。戸建て住宅はリスクを見て購入する必要があります。その点、マンションはあまり心配する必要がないため、わかりやすいのです。

(※2023年2月時点の情報となります。最新の情報とは異なる場合がございます。)

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マンションの住戸は南を向いている。
左マンション側:商業系地域、右住宅側:住居系地域

おふたりによるクロストークを動画でもご覧いただけます。
ぜご視聴ください。(約20分)


後編では、不動産会社と建築家、それぞれの立場から「リノベーション事例」「今後の建築家リノベーションの展望」についてを語っていただいていますので、併せてご覧ください。
WEB事例集「建築家で大成功のリノベーション」連動企画 『買ってリノベ』クロストーク後編 >

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