建築家で大成功のリノベーションvol.4「入れ子による居場所の多い暮らし」建築家：吉田裕一さん

2020年に完成した "建築家に頼んで大成功"の住宅実例を、登録建築家自身がご紹介します。建て主は中古マンションを購入し、リノベーションしています。

羽根木神社への参道に面してゆったりと建つ築36年のマンション1室のリノベーションです。
いくつかの既存間仕切り壁を撤去し、大きなワンルームを作った上で、入れ子状に窓側の半分を子供部屋に、ダイニングの奥には小上がりスペースを配しました。そうすることで、LDKは変則的な形状となりますが、それが居場所の変化を生み、外部の見え方、光や風の入り方など、多焦点で奥行きのある暮らしを実現しています。

水回りのプランはそのままに設備を更新し、玄関は趣味の自転車やベビーカー、靴が増えることを想定して、土間を大きくしています。
マテリアルは白を基調としながら、ブラックチェリーの床と飴色で統一された家具、一面だけアクセントカラーとした青い壁、一部躯体あらわしとした天井、再利用した建具など、古いものと新しいもののバランスを取りながら丁寧に配置し、いわゆる「中廊下型」の住まいを新しい住人の暮らしに合うようにチューニングしました。
クライアントからは「家にいる時間が増えた」、「季節や時間によって居心地の良い場所が変わる」というような意見をいただいています。

平面図

改修後

改修前

リフォーム後

ダイニングよりリビングを見る。天井はコンクリート躯体現し

ダイニングのアクセントカラーとした青い壁

奥は小上がり

キッチン

詳細情報

●家族構成：単世帯
●延べ床面積：68.45㎡
●竣工：2020年
●構造：RC造（マンション）
●Photo：七條香純

建築家：吉田裕一さん

私たちは対話の中から設計の手がかりを見いだすことをいつも心がけています。心地よさや、どう暮らして行きたいか、なぜその土地（物件）を選んだのか、など。その住み手がその場所でしかできない唯一無二の暮らし方が必ずあり、それを一緒に発見し、周辺環境との調和や、機能性、デザイン性と統合して住宅としてかたちにするのが私たちの役目です。住まいづくりを一緒に楽しみましょう。

吉田裕一さんのプロフィール

（2023年3月記）