京王相模原線「稲城駅」より徒歩3分。自然豊かな静かな街に、多くのメディアにも紹介され話題の、木造一部コンクリート造5階建ての賃貸マンション『MOCXION 稲城(モクシオン)』が完成しました。私達、OZONE住まいづくりコンサルタントも、三井ホームの法人窓口のご担当者よりご案内を受け、早速見学会に行ってきました。
モクシオンは「国土交通省 令和2年度 サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」の活用事例だそうです。
"再生産可能な循環資源である木材を大量に使用する大規模な木造建築物等の先導的な整備事例について、その具体の内容を広く国民に示し、木造建築物等に係る技術の進展に資するとともに普及啓発を図ることを目的にしております。
この観点から、本事業では、先導的な設計・施工技術が導入される大規模な建築物の木造化を実現する事業計画の提案を公募し、そのうち上記の目的に適う優れた提案を国が採択し、予算の範囲内において、実施支援室が当該事業の実施に要する費用の一部を補助します。" (事務局ウェブサイトより)
この建物は耐火建築のため、木造でありながら【マンション】と銘打つことが可能となっています。
一般的に、マンションとは主に鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造などの耐火構造の集合住宅のこと。
木造だとアパートということが多いのです。
また外観も鉄筋コンクリート造のマンションと変わりはありませんでした。
建築のコンセプトは<withコロナ仕様><レジリエンス施策><脱炭素:RC造に比べ約50%削減><省エネ><界壁、床の遮音性能>など。住まいとしての快適さから災害時の安全対策、地球環境までよく考えられた建物です。
♦エントランスホール
木製のオブジェは床から徐々に広がり、木板(松系)を貼った天井仕上に繋がっていきます。
とても素敵なエントランスホールでした。
♦賃貸住戸例
インテリアが設えられた部屋があり生活が想像しやすくなっています。withコロナということで、リモートワーク用の小部屋や玄関脇に手洗い用の洗面ボウルを設置するなど間取り上の工夫も見せていただきました。
【検証実験に取り組む】
集合住宅で特に気になるのは音の問題です。この建物は、木造なので借りる方が気になる「音に対しての検証実験」をして公開しています。
スリッパを履いた機械がドンドンと床をたたき、加えて、大音量のテレビが備えられた部屋がつくられていました。
その音が、[下の部屋]と[隣の部屋]どのように伝わるか、実際に体験が出来ます。4人で感じた結果は・・・
[下の部屋]
テレビの音は全く聞こえず、足音は若干聞こえますが、気にならない程度でした!
[隣の部屋]
2人は全く聞こえず、2人はかすかに聞こえました。ただ、これは、窓側から外部を経由して聞こえてくる可能性があるとのことでした。
床構造|実物模型の展示がありました。上階の振動が、下階へ伝わり難いように、床と天井とは縁を切ってあります。
界壁|住戸間の戸境いの壁です。分厚い断熱・吸音材が詰められて、床と同じく、両側の壁面の衝撃が伝わらない様に縁を切っています。
こちらの賃貸マンションは、家賃が鉄筋コンクリート造(RC造)のマンションと遜色ないにも関わらず、賃貸の募集をする前から大好評だそうです。
木造耐火建築ということでの初チャレンジは大成功のようでした。ここで得られたノウハウを生かして、いろいろと広げていきたいというお話を伺いました。
(2021.12月記。住まいづくりコンサルタント 村松葉子、写真はOZONE撮影)
関連記事
OZONEメールマガジン(無料)のご案内
住宅事例や家づくりに役立つ情報、リビングデザインセンターOZONEで開催するイベントやセミナー情報などをメールマガジンでお届けします。